シオンは黒いカードを津也に見せた。

「…それは…」

 消えたはずのカード。
影縫は、もういないはずなのたが。

 なぜ、存在しないはずのカードがここにあるのか。

「どう…して…」

 シオンは津也の顔を横に向ける。

「彼女に、渡されたのですわ」

 そこには、10歳くらいの見知らぬ少女が立っていた。

「あ~、やっと起きた」

 ドレスコートを纏った少女は、津也の前に座り込む。

 ドレスコートの下は軍服のような黒い詰め襟とスラックス、ロングブーツといういでたちだ。

「ふ~ん…」

 少女は津也をしげしげと見て、感嘆する。

「確かにかなり変わった波長を持ってるわね、あなた」