「え?」

 うやむやの内に闘う羽目に成るのかと思っていたら、どうやらまた違う展開らしい。

「え~…あ、いや、理由があれば闘う、ってことじゃないんだが」

 ぱたぱた手を振りながら慌てて津也は言った。

「でもとりあえず、状況を説明してもらえるとありがたいんだが」

 今度はシオンが頭を抱える。

 何が悲しくて、これから命を狙おうとしている相手とだらだら話などしなきゃならんのか。

「あなた、サバイバーとしての自覚はありませんの?…私は誤った過去を書き換えるために生き永らえているのに!」

 激昂するシオン。

 しかし、余計にわけが分からなくなった津也は当惑するだけだ。

「サバイバーって何なんだよ。大体ここはどこなんだ」

 無限に広がる平原。建物も立木もなく、通行人すらも全く見えない。

 明らかに、普通ではなかった。

 むくれた面持ちのままで、シオンは答える。

「ここはサバイバーだけが入れる決闘のための結界ですわ」