「いや、俺に送らせてくれないか」

 津也は闇珠の肩に手を置いて言った。

「俺は本来なら戦場に立つべきでない存在なのかも知れない。その俺がシオンの未来を閉ざしたんだ」

 闇珠と同調すると、リボルバーを構える。

「けじめってわけじゃないんだけど、シオンと戦うために用意した技を見せたいんだよ」

「私のために?」

 シオンは笑みを浮かべて津也を見る。

 まだ、笑うだけの余力が残っていた。

「では、受けましょう」

 シオンは何事もないように立ち上がる。

「あまり長くは持ちませんわ。早く」

 既に限界は超えているのだ。

 津也は頷くと、リボルバーを構える。

『装弾完了。決め所よ、津也』

『わかってる』

 グッ

 撃鉄を起こす。

「さよならだ、シオン。行けぇ、破星弾!」

 カキィン

 引き金を引く。

 殲咬弾より小さな弾が飛び出し、シオンに命中した瞬間大きく弾ける。

 凄まじい光芒の中に、シオンのシルエットが消えて行く。

「さよなら…」

 そう呟いたシオンの声が、津也には確かに聞こえた。

 閃光が消え、そこに人がいた痕跡は残っていなかった。

 直後、足音と拍手。

「おめでとう。お前が最後のサバイバーだ」

シオン・ハルトマン

死亡