「私は、あなたに新しい願いを託したのです。王の血族であるあなたに」

 シオンは、津也が主催者である王の子孫だと見抜いていたのだ。

 津也は驚いてシオンを見る。

「なんで…そのことを」

「私も聞きたいわ」

 同調を解除した闇珠が津也の隣に現れる。

「私は意識を繋いでいるから、津也が闇の因子を受け継いでいることが分かった。でも、人間のあなたがなぜ、そのことに気付いたの」

 サバイバーになった者は様々な能力を持つが、
それでシオンが津也の特異性に気付いたとは考えにくいのだ。

「なぜなのか、それは私にも分かりませんわ。もしかしたら、私も血族なのかしら」

「違うと思う」

 シオンの言葉に、津也は異を唱える。

「シオンの炎には、冷たさを感じない。闇の血族なら、凍りつくような冷たさがあるはずだ」

 冷静な表情に戻り、津也はシオンの手を取る。

「この熱さは、血族のものじゃない」

 シオンは眩しそうに津也を見る。

「あなたも、熱さを持っている。あなたなら、この馬鹿げた戦いの連鎖を止められますわ」

 シオンは津也の手を握り返そうとするが、もう力が入らない。

「私の時間は、間もなく終わります。できれば、死に際は見ないでほしいのだけど」