「ねえ、私が津也を愛していると言ったら、どうする?」

 聞くまいと思っていたことを、闇珠は思い余って聞いてしまった。

 津也は闇珠の肩に手を置いたまま、黙りこんでいる。

「あ…迷惑だったら言って。もう言わないから」

 困らせたと思った。

 だがふと見上げてみると、津也は優しげな笑みを浮かべていた。

「津也…」

「分かってたよ」

「え?」

 意外な言葉に、闇珠は驚く。

「同調した時、闇珠の思いが伝わって来た。だから、闇珠が人間だったらいいと思ったんだ」

 それを聞いた闇珠は、顔を真っ赤にして津也の胸板を拳でぽこぽこと叩く。

「なによぉ、あんなに恥ずかしい思いしたのがバカみたいじゃない!」

 津也はしばらくされるがままになっていたが、たまらず声をあげた。

「くうぁっ」

 アリアスと対戦した時に酷使した体に残っていたダメージが、非力とはいえ闇珠の「ぽこぽこ」によってぶり返したのである。

「あ…ごめん、つい…」

 口許に手をやる闇珠の目が潤んでいる。

 声が出なくなり、胸板を押さえていた津也は、ややあって深く息をついた。