「あのお姉さんとは、きちんとカタをつけて来たみたいね」

 その言葉に、津也はしばし沈黙してからおもむろに答える。

「一人で抱え込むから、随分回り道したよ」

 ぶっきらぼうにぼやいて見せるが、闇珠には見透かされていた。

「心を見通す私に、芝居は通じない」

 津也の頭を胸元に抱き寄せると、闇珠はまた囁くように言う。

「抱え込んでるのは、津也だって同じじゃない」

 ちくりと刺さる言葉だが、無論悪意はない。

「本当は泣きたいくらい辛いくせに、斜に構えて見せてる。私の前で格好つけても無駄よ」

 優しく語りかけ、闇珠は津也の頭を指先でトントン叩く。

 わだかまりを抱えていた津也の心が、少しずつ晴れていく。