空の神衣

「李苑が間に挟まった分威力が増した。助けようとした行為が、余計にアリアスを傷付けたんだ」

 なんとか顔を向けて見ると、アリアスは全く動かない。

「失神してるだけだが、もうしばらくは起きられないだろう」

(そんな…)

 李苑は打ちひしがれる思いだった。

 戦士にふさわしくなくとも、甘いと言われようと、助けられるものなら助けたい。

 そう思ったのに。

 助けることも、できなかった。

 自分がしたことは、アリアスの傷を深めただけだ。

 悲しかった。

 自分の不明が。

「誰も責めやしない」

 津也は立ち上がり、破れたシャツに袖を通してハーフコートを羽織る。

「さっきも言ったけど、李苑はまともなんだ。だから戦ってほしくないんだよ」

 津也の目に、憂いの色が浮かぶ。

「戦わないことも、戦いなんだよ」

 その言葉の意味は分からないが、李苑には津也の気遣いが理解できた。

「津也の方が、余程甘いと思うが」
 
 意識を取り戻したアリアスが、倒れたままで言う。

「津也は李苑達を、戦いそのものから守りたかったのだろう?」