空の神衣

(二人を戦士と認めるなら、手出しをしてはいけない)

 李苑には、アリアスは津也の攻撃をかわせないと見えた。

(それでも…私は!)

 体が動いていた。

 アリアスの前に立ち、津也の攻撃を阻まんとする。

「李苑?」

 アリアスの驚く声。

 迫って来る津也の表情からは、感情は全く窺えない。

 どむん。

 李苑は胸元に、津也の拳がめり込んで来るのを感じた。

 ぐん

 その拳から、渦巻くように力がほとばしる。

 全身を掻きむしられるような激痛に、李苑は声も出ない。

 そのまま、アリアスもろとも崩れ落ちる。

 しばらく肩で息をしていた津也が、ややあって倒れたままの李苑に語りかける。

「…つくづく、甘いな」

 起きようとするのを、手で制する。

「動かない方がいい」

 おもむろに腰を下ろすと、言葉を続ける。

「髄破は打点から波紋のように力を叩き込む技なんだよ。先へ行けば行くほど、その波は大きく強くなる」

 腕が言うことを聞かないので、津也は顎でアリアスを指す。