空の神衣

「あれだけのダメージを受けたところへ追撃をかけたりしたら、それが致命打になる」

「あの状況では、打つ手などなかった。成るべくして、成ったことだ」

 アリアスの声にも、津也と同じく深い疲労が窺えた。

 長くは戦えない。

 次の技に残った力を注ぎ込む。

 思いは同じだった。

「李苑、見ておけ」

「戦うとは、こういうことだ」

 交互に言葉を発し、二人は口を閉ざす。

 李苑はその光景から目を離せない。

 ドクン

 ドクン

 鼓動が、地鳴りのように響く。

 ダン

 アリアスが、ステップワークから一転して津也に迫る。

 天を突くように、アリアスは膝を突き上げる。

 手応えがない。

 アリアスの視界に、津也の姿はなかった。

 本能的に、アリアスはバックステップで後方へ跳ぶ。

 直後、津也の気声が聞こえた。

 離れて見ていた李苑には、津也の動きがよく見えた。

 アリアスが膝を突き上げた瞬間、津也は上体を反らしてかわすと同時に死角に入ったのだ。

 さらに、アリアスが間合いを外すのに合わせて追撃に出ていた。