空の神衣

「脚技で来るのは分かってたからな。くらってからでも返しは間に合う」

 津也は再び構えるが、左腕は力なく垂れ下がったままだ。

「こんな傷負って、嫌な思いして、俺は何のために戦ってるんだろうな」

 言葉と裏腹に、津也の視線は鋭さを増す。

「知れたこと」

 アリアスも、ステップワークを始める。

「発端がどうであれ、戦いに勝利して願いを叶えると決めたのだろう」


 アリアスのステップが少し遅くなる。

「吐いた言葉には、責任を取らなくてはならん。それに、叶えるべき願いを譲ることはできない」

 それは、津也が求める答えとは少し違う。

「アリアスよ、お前はどうしてルイを助けなかっんだ」

 それは、李苑も疑問に思っていたことだ。


「手を差しのべれば、助けられたかも知れない。だが、それでは彼女の死の影を祓うことはできない」

「それに、もし自分がルイと対峙していたら、情をかければ命を捨てることになる。助けようなんて発想自体が間違っているってことだな」