「アルベルトとか言ったなあ、あんた。俺にケンカ売った代償は、高くつくぜぇ」

 冗談めかした口調とは裏腹に激しい怒気を孕んだ目で、津也はアルベルトを睨みつける。

「うおらああぁぁっ!」

 左右の蹴りを連続で繰り出し、衝撃波を重ねて飛ばす。

「ヒャハハハアァァ!」

 相変わらず狂気じみた笑みを浮かべるアルベルトは、両手のムチをまさに目にも止まらぬ速さで振るう。

バシュウウウゥゥゥッ!

 破裂音が響き、衝撃波が打ち消される。

「てぇい、やっぱりこの技、ムチとは相性が悪いや」

 愚痴をこぼす津也に、影縫が語りかける。

『君は技の特性を誤解しているようだね、津也』

『どういうことだよ』

 少々苛立って問う津也に、影縫は涼しげに答える。

『まさかとは思うが、蹴りでしか衝撃波を飛ばせないなどとは思っていないだろうね』

『あ…』

 図星だった。

『それに、大振りする必要もないよ。衝撃波は大きさも飛ばすタイミングも君次第なのだから』

 影縫は的確なアドバイスをしてくれるが、声が幼いだけに津也は複雑な気持ちになる。