掌にべっとりついた、赤い血。

(これなら、あいつの姿を捉えられる)

 それは、捨て身の決断だった。

 ただでさえ、撃ち抜かれた腹は深刻な重傷だ。

 激痛と脱力感は刻一刻と増しており、すぐに手当てをしても助かるかどうか甚だ疑問だ。

 加えて、そもそも今は手当てができる状況でもない。

(どうせなら、ちゃんと告白してからがよかったかな…)

 振り向くと、衝撃波を浴びた蒼馬がようやく起き上がったところだ。

「ほんと、世話が焼けるんだから」

 ふ、と笑おうとする…が、痛みで顔が引きつってしまう。

(もたもたしてはいられない…いずれ蒼馬も攻撃を受ける。その前に手をうたないと)

 もう一度見やると、どうやら蒼馬も事態に気づいたようだ。

「ルイ…?一体、何がどうしたんだ…っ!あいつ何をする気だ?」

 なんとか身を起こした蒼馬は、血まみれで立ち尽くすルイの姿に驚愕する。