蒼馬は金槌を下ろして言う。

「だけど、いざ戦うことになったら手加減はできない。だから、一人で決着つけたかったんだよ」

「ば~か」

 チッチッと人差し指を振りながら、ルイは笑いとばす。

「手加減なんかしなくても、私そ~まごときに負けないよ」

 これだけあっさり言われては、蒼馬も立場がない。

「最後に戦う時は、私も本気でやる。だけどそれまでは、蒼馬を守るために全力を尽くす」

 そう言うルイの目は、決意と信念をたたえていた。

「オレがルイを守ってるハズだったのになあ…」

 ぶつぶつとぼやく蒼馬に、太刀風が追い討ちをかける。

『情けないのう、お主。すっかり尻に敷かれておるではないか』

「うるさいやい…」

 抗議の声も力がなく、なげやりだ。

 うなだれる蒼馬の手を取り、ルイが言う。

「じゃあ、今はそ~まに守ってもらおうかな」

 冗談めかしているが、ルイは本気だ。

「本当だよ。そ~まになら守ってほしいもん」

「あいつらが手におえない相手でもか?」

 すねたまま、蒼馬は李苑と晶を見やる。