「いや、オレはただ、誰かに迷惑かけるのがイヤだっただけで」

 ごんっ

 今度は力一杯、頭を殴る。

 やおら立ち上がり、腰に手を当ててぽかんとしている蒼馬を見下ろす。

「そ・れ・が、ダメなんだって言ってるの。次また寝惚けた事言ったら、ぶっとばすよ」

 冗談で言っていないことくらいは、蒼馬にも分かった。

『主よ、幾ら何でもお主は鈍過ぎるぞ』

 太刀風も、ルイに劣らずの呆れ顔で言う。

「そんなにニブいか?」

 頭を掻きながらぼやくと、

「鈍いよ」
『鈍いわ』

 ルイと太刀風の声がハモる。

「そうかあ…ニブいのかあ…」

 まだよく分かっていない様子で、蒼馬はうなだれる。

 そんな蒼馬の頭を、ルイはまたこつんと小突いた。

「一人で困らないの。最後のサバイバーになるまで、私が支えてあげる」

「ルイとは、戦いたくないな」