恨めしそうに言う。

『随分な言われようじゃのう。儂とて、好き好んでお主と契約したのではないぞ」

 太刀風と名付けたカードから烏帽子に羽織袴をつけた老人の姿が浮かび上がり、仏頂面で返す。

「だいたい、なんで契約した相手がこんなじーさんなんだよ」

 太刀風の声を聞いているのかいないのか、蒼馬はぶつぶつ呟く。

『なあ主よ、いい加減現状について思案すべきではないかな』

 太刀風は呆れ顔だ。

「…ところでさあ」

 唐突に、蒼馬が真面目な顔になる。

『いちいち声を出す必要はないのだが…まあ、最早言うまい。それでどうしたのじゃ、主よ』

 達観した様子の太刀風に、蒼馬は言う。

「一体何がどうして、オレたち砂漠をうろついてるんだろうね」

 聖と戦ったのは池袋。それが、なぜか領域封鎖を解いたら周りは見渡す限り砂漠。

 蒼馬が疑問を抱くのも無理はない。

『そうじゃのう。恐らくこの近くにおるんじゃろうな、選ばれし侍が』