見たことのないベティがどんどん引き出されていく。

どれが本物の彼なのか、あたしにはわからないでいた。


「俺たちの星の王政制度はいわゆる一夫多妻制で、リュウセイはその王位後継者の一人なんだ。
王族の呪いかなんなのかわからないけど、子宝には恵まれずお子様を一人生むのがやっとで…ご子息となればまた候補は限られる。
更にアイツの母親は病弱で、俺たちが物心をつくころに亡くなられた」


 あたしは息をするのも忘れて、彼の声に耳を傾けていた。


 だって、知りたいんだもん。

……リュウセイのこと。



「俺の母はリュウセイたちの住む宮殿に仕えていて、騎士団を志望していた俺はよく無理やりついていってな。その代わり、仕事も手伝わされたけど」


 思い出したのか、空を見上げて瞳を閉じていた。

サラサラと風になびく金糸の髪は、そのまま溶けてしまいそうに綺麗だった。


「その仕事の一つ。母を通じてオレはリュウセイの遊び相手に指名されたわけだが、当時のアイツはナニをやっても笑わないんだ」

 ベティの言葉にパッと顔をあげる。


「嘘…。信じられない……」


 驚きすぎて声に出してしまったけど、ベティも納得したようにふっと顔を緩める。

だけどベティの横顔が、あまりにもキレイ過ぎて怖い。


 ドクドクと血が巡る音が、体中に響く。



「そうさ…、今のリュウセイになるには一つ出来事があった」