そして、それは
「彩芭、もう大丈夫だよ」
間違ってはいなかった
耳に届いたあの人の声
目が潰されないうちに、鉛みたく重い瞼を開ければ
「あ、あ……!」
奇跡だと思った
霞む視界なのに、分かる
だって、そこにいるのは私の愛しい人
私を安心させようと微笑む彼
だけど、彼の登場によって場が凍り付いた
「あぶ、ない……」
陰湿根暗悪魔的所行をする楔がそこにいる
彼がやられてしまうと私は焦ったが
「失せろ、蠅」
一蹴
見惚れるような早業で、彼は楔の息の根を止めた
そうして、楔がいなくなり彼は私を抱える
大丈夫だよ
そうあやすようにしてくれる彼が、たまらなく嬉しかった


