お星さまが出てきて、おひさまが出て、またお星さまが出て、またまたおひさまが出てきてもぼくは、ずっときみのそばにいた。


ぼくのお腹がグ〜って鳴って、おひさまがぼくの頭の上に来た時、大きな影がぼくの前を通り過ぎようとした。
ぼくが顔を上げてみたら、立ち止まってぼくにお話してきた。

「どうした…?」
「えっ!」

ぼくは『びくっ』とした。
“あの大きなわんこ”いつもの野原の端っこでいつもごろ〜っとしているけど、お話、したことなかった。
大きくて、太い声にも『びくっ』とした。

「今日は向こうの丘の方には行かないのかい…?」
「なんで知ってるの…?」
「わしは、よく、蹴られそうになっとったからな」
「寝てるんじゃなかったの…?」
「寝てても起きてしまってたんじゃよ」
「ふーん、ごめんね…」
「いや…、いいんじゃよ」
「でも、もう、あそこには行かないよ…」

大きなわんこは、ぼくの鼻先の『ふにゃっ』となったままの君を見つけた。

「あれ…?」
「なに…?」
「そのこすもす、抜いてしまったのか…?」
「こすもす…?」
「そこに大切そうにしている花のことじゃよ…」
「こすもすっていうの…?」
「そうじゃよ、その花の名前なんじゃよ」
「大好きなのに、知らなかったよ…」

ぼくの鼻先は、また、すごく『つんっ』とした。
ふと見るときみは、ぼくの鼻先で、もっともっと『ふにゃっ』ってなってた。