「…沖先パイ、キスしていいですか?」 「ふざけんな」 冷ややかな一言を浴びせかけ、そのあと消え入りそうな声でつぶやく。 「…遅ぇんだよ」 美紅のうれしそうな笑顔に、もう何も言えなくなる。 初めて会ったその日から、ずっとお前に振り回されっぱなしだ。 「えっと、目っ、つぶってください」 すっとまつげを伏せて息を潜め、美紅を待つ。 待ったその末にやってきたのは…。