その小さな姿は、案外すぐに見つかった。
俺は口ではきれいなことを言いながらも、本当に美紅と向き合おうとはしていなかったのかもしれない。
教室の中で窓の外を眺めながら、微かに肩を震わせる後ろ姿。
ちらりと見えた横顔。
片方の目に盛り上がった涙が、ほろりと美紅の服の胸元に落ちた。
俺はわざと大きな音を立てて、教室のドアを開ける。
「…沖先パイ…」
つぶやいた美紅が、我に返ったようにあわてて背を向け、走り去ろうとする。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
設定されていません
読み込み中…