「あ、沖。どうしたのさ。…沖?」



杉原の声がしたけれど、よくわからない。




今さらになって、いきなり悲しくなってきて。

俺の目からは、涙があふれていた。


「沖?泣いてるの?」



「うるせ…」


泣いてねぇよ。


そう言いたいのに、声が出てこない。

こんな情けない声、出したくなかった。


どうしよう、どうしよう。


美紅が

美紅が。


もう振り向いてもらえない。


もう笑ってもらえない。