美紅、美紅。


心の中で、何度もその名を呼ぶ。




愛しくて止まない、ただ1人の名前を。





遠ざかっていく背中。

その場から動けない俺。



”さようなら”

そう言った瞬間、涙をこぼした美紅。


もう、涙すら出てこない俺。



悲しすぎて、もう何もわからない。

これが全部夢だったらいいのに。


俺はまだ熱を出して寝込んでいて、この出来事は全部夢で。

うなされて目が覚めたとき、隣に美紅がいてくれればいい。



そうだったらいいのに――― 。