俺は5秒ほどたっぷり間を空けて、


「…さぁ。俺、何かしたか?」


上ずった声でとぼけてみせる。


里季が、横でぶっと吹き出した。



そんな里季を肘で小突いて美紅を見ると、美紅はそんな嘘に全く気がついていないようだ。

こちらもまた上ずった声で、


「そっ、そうですよね!覚えてませんよねっ!」



この調子だと、実は全部覚えてるなんて言ったら卒倒しそうだな。



「…美紅、顔赤い」


ちょっとふざけて顔を近づけてみると、美紅の顔が火を噴いたように赤くなった。