目が覚めて、俺は自己嫌悪に陥ることになる。
熱が出ていた間のことは、しっかりと頭の中に残っていた。
「はぁ……」
長いため息が唇からこぼれる。
どうせなら、きれいさっぱり頭の中からこの記憶が抜け落ちていればよかったのに。
そうしたら俺は、何も知らずに済んだ。
俺が使っていた掛け布団には、まだほんの少し美紅の香りが残っているような気がして。
俺はその布団を握り締めて、電話をかけた。
「里季か?熱下がったから、今から大学行く」
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