「…って、…だよな」


「…え?わりぃ、今なんて言った?」



いつもの眠たい夕暮れの中。

ぼけっとしていた俺は里季の言葉が聞き取れず、もう1度聞き返した。



里季がさほど気にした風もなく、丁寧に繰り返す。


「だからさ、沢瀬さんって本当に沖のこと好きだよな」


どう返事をすればいいのかわからない。


だって、うなずこうにも本当にそうなのかわからない。




それにこいつは、まだ美紅のことが好きなのかもしれないんだ。