映画館に入るともう上映が始まるところで、俺たちはあわててイスに座った。


暗い映画館の中で、スクリーンがぼんやりと白く浮かび上がる。

途端に流れた、静かな音楽。



いかにも悲しそうな映画だ。


内容はいたって普通だったが、それなりによかったと思う。

俺は映画に詳しくはないからよくわからないけれど、演出にかなり手が込んでいたんじゃないだろうか。



美紅はといえば、映画の1番いいシーンで眠っていた。


…やっぱりな。

口を半開きにして気持ち良さそうに寝ている美紅を見て、あまりにも予想通りで笑ってしまう。



…そして。





















暗がりの中俺は、そっと美紅と唇を重ねた。