唇をとがらせてうつむく美紅に呆れた微笑みを向けて、俺は美紅の手を引く。



「着いたぞ」


「はぁい…」


とぼとぼと歩く美紅を見ながらふと思った。

そういえば美紅のペースに巻き込まれるばかりで、付き合って2年になるのに俺たちはまだキスの1つもしていない。


告白したときに額にくちづけたことはあったけれど…。



「美紅」


「はいっ、何ですか!?」


「あのさ…」



言いかけて、やっぱりやめる。


これじゃあ俺が変態みたいじゃないか。