そのとき、突然電車ががたっと音を立てて揺れた。



「わ…っ」

ぐらりと傾く美紅の身体をあわてて支える。



美紅が俺の腕にしがみついてほっと息をつく。


「あ、ありがとうございます」


「…ったく、気をつけろ」



口でそうは言ったものの、顔が熱い。


「びっくりしましたねぇ」


能天気な美紅の声に、舌打ちしたくなる。


びっくりしたのはこっちの方だ。