「…気が向いたらな」


そんなそっけない返事にも、美紅はほんの少しの希望を求めてすがりついてくる。


「わかりました!先パイの気が向くように祈ってますね!」


祈ってどうなるというわけでもないだろうに。



そのまま美紅は風のように去っていき、後にはまだ薄く笑みを浮かべている里季と俺だけが残された。


「相変わらずだな、2人とも」


「うるせーよ」


里季の言葉に軽く毒づいて、ずんずんと先へ進む。



暖かい春の空気の中、一足も二足も早い台風がこの大学へやってきた。





…俺の生活に平和というものは、そう長くは滞在してくれそうにない。