美紅がほぅっと息をついて、うっとりと言う。


「先パイ、かっこよすぎです…っ」


「はぁ?頭煮えてんのか、お前」



今のふわふわしたセリフの、どこにかっこいい要素があった?

里季は俺たちの後ろで、くくっと押し殺すような笑い声を上げている。



…あの野郎。



とにかく俺はしっしっと美紅を追い払う仕草をして、


「ほら、さっさと行け」

と促す。


「えぇーっ、もう行かなきゃいけないんですかぁ?」


そう言いながら肩をすくめて、


「それじゃあ、後で一緒に帰りませんか!?」


と、目をキラキラさせてくる。