成瀬と出会ったあの日以来、なぜかレオと会う気にはなれなくて、あたしはレオからの連絡をずっと無視し続けていた。


向かいのビルが見えるあの窓のカーテンも、ずっと閉めたままだ。



「うん……いいの」


「そう」



あたしはリョウさんの手に指をからめて、エレベーターに乗り込んだ。






最近のリョウさんのお気に入りは、ソフトSM。


あたしの両手首をタオルで縛ってくるリョウさんの顔があまりに楽しそうだから、何となくあたしもそれに応じてる。



いたってノーマルなあたしだけど、たまにはこういうのもいい。


特に、目隠しされた状態で攻められるのが、あたしは好きだった。



そして、そのままおぼれる頃には……


あたしは遮断された視界の向こうに

まったく別の人を想像している。






行為が終わると、リョウさんは吸い込まれるように眠ってしまった。



あたしは何となくその横で寝つけなくて、ひとり先にホテルを出た。




マンションに戻ると同時に、ベッドに体を落とした。



自分の部屋は、やっぱり落ち着く。


横になって目をつぶると、朝帰りの疲労があたしを睡眠に導いていった。