トナリの部屋には
新しい人住人が
入った。




その人が
挨拶に来た時
いたたまれない
気持ちにかられた。
いつになれば
隼人は
帰ってくるんだろう。



トナリの部屋から
物音が聞こえる度
目が覚めてしまう。



朝日が上るのを
何度見てきただろう


その度に
左手の薬指につけた
指輪が
朝日を浴びて
少し光る。



つわりは
毎日来る。
苦しい。



もしも
隼人が
ここにいたら
優しく背中を
さすってくれるんだろうな。
食事が喉を通らない
アタシに
食事を
作ってくれたんだろうな。
隼人は
優しいから。



毎日
こんな事を
考える。




知り合って
付き合って
アタシ達はまだ
一年も経ってない。
なのに
何でか
思い出が
多すぎる。


沢山つまっていて
苦しい。


こんな事ばかり
考えていたら
きっと
お腹の子供にも
悪影響。


『もう
ママのお腹やだ。
悲しいから
出て行く。』
って
行って
出て行っちゃうかも
しれない。




大切に
してるつもり
なのに。



だって
こうなるって
分かりきって
隼人と
別れたはずなのに
苦しいって
わかってたはずなのに


隼人には
幸せになって
ほしかった。



ねぇ
ねぇ
何度呼びかけたって
隼人は戻って
来てはくれないのに



期待が
どこかに
消えていって
くれないんだよ。



助けて
お願い。