「隼人は?」
幸子が
当たりを
キョロキョロ見ている。




「仕事でこれないみたい。」
アタシは
少し下を向いて
笑った。



そして



「幸子…
まだ隼人の事好き?」
って
聞いてみた。




すると
幸子は
黙って首を横に
振った。




でも
アタシは
少し泣きそうな
幸子の顔を見逃してなかった。



だけど
「そっかぁ。」
と言って
窓の外に目をやった。




その時
病院の廊下を
走る音がして
「間に合ったぁ。」
って言って
隼人が病室に入ってきた。




「廊下は走っちゃダメだよ。」
笑いながら
アタシが言うと



「ごめんごめん
間に合わないかと
思った。」
と息を切らしている隼人。




そんな
隼人を見て
幸子も微笑んでいる。




アタシは
その幸子の顔を見て
可愛いな
って
思った。




本当は
憎んでいた。



でも
その事が嘘みたい。




アタシの鼓動が高まった。
もう何もない
隼人はアタシが好き。