──何か言わなければ。 そう思うのに、言葉が出ない。 目の前が真っ暗になって、暗い谷底へ突き落とされたような感覚だ。 「陸?」 そんなことも知らず、姉貴が不安そうに顔を覗きこんでくる。 「…ッ」 反射的に視線を反らした。 頼むから、見んな。 そんな目で俺を見んな。 ─…今の俺、多分めちゃくちゃかっこわりぃ。