──コンコン。


部屋のドアを叩く音が響いたのは、ちょうど深夜2時を回った頃だった。


小音量で音楽を聞いていた俺は、慌ててコンポを切ってドアを開けた。


「…どうした?」


ドアの前には、姉貴がいた。


それも、微かに体をモジモジさせて。

「……、」


何か言いたげな瞳で俺を見上げてる。


何しに来たか、なんて、聞かなくても分かってた。



「…アイツと何かあった?」


出来るだけ平然を装い、そう声をかける。

すると姉貴は、泳がせていた視線を俺に向け、


──コクン。


小さく頷いた。


……やっぱり。