「でね。もう座った瞬間から猛アプローチだよ!?ありえなくない?」
「いや、ありえなくは無いと思うけど…」
いつだっけか。
俺も似たような経験があった。
互いに挨拶して、さぁ飲もうかとなった途端、腕に絡み付いてきた女が居たっけ。
もう名前すら忘れたけど。
「他にも可愛い子いっぱいいるのに、まるで私しか視界に入ってないみたいな!とにかく態度がモロバレっていうか…」
興奮気味に話す姉貴をよそに、俺は自分のイライラと戦うのに必死だった。
態度に、顔に出てしまわないか。
それだけを注意しながら、必死で平然を装う。
あくまでも俺は、『クールな弟』を演じなければならないんだ。
「でね!アドレス交換して、今度は二人で会おうってなって…」
「今日、告られたんだ?」
姉貴の言葉を先回りして問いかけると。
「……うん」
頬をほんのりピンク色に染めて、姉貴は小さく頷いた。



