「…ほら。乗れよ」
姉貴の前に腰をおろし、背中を向ける。
「…でも、」
「暗いから誰も見てねぇよ」
「そうじゃなくて…あたし重いもん」
「…はぁ」
この後に及んで、そんなこと気にしてたのか。
「女の一人や二人背負うぐらい、どうってことねぇよ。ほら!」
無理矢理姉貴の腕を引いて、首に巻きつかせた。
「…っと」
姉貴の足に手を回し、その体を持ち上げる。
同時に背中に伝わる、姉貴の温度。
やべ…。
予想以上に密着する。
「…重くない?」
「全然。むしろ、もっと太れ!」
心臓が前についていて良かったと、このとき改めて思った。



