「…姉貴!」 駅の改札口で、小さくうずくまる姉貴の姿を見つけた。 その身体は一瞬ビクンと震えて、すぐに真っ赤な目が俺を捉える。 馬鹿だな…。 いい年して、何泣いてんだよ…。 「…ほら、」 そう言って右手を差し出すと、姉貴はグスッと鼻を啜って俺の手に捕まり立ち上がる。 瞬間、甘いバニラのような香りが鼻を掠め、ドキリとした。 いつの間に香水なんて付けるようになったんだ…。