「おい陸ー、お前も歌えや」
「そうだよぉ。陸くん歌って!」
所変わって、現在俺は強引にマイクを押し付けられている。
この日はいつもつるんでる男友達の失恋記念パーティーだかで、半ば強制的にカラオケへ連れてこられたのだ。
「俺はいいよ」
「何で?あたし陸くんの歌聴きたいよぉー」
甘ったるい声で腕に絡みついてくる女。
あぁ、うぜー……
「俺、音痴だからさ」
思わず振り払いたくなるのを抑えつつ、作り笑いをしてみせた。
何をしていても、落ちつかない。
脳裏に浮かぶのは、決まって姉貴の顔。
アイツ…まだ怒ってるかな。
と、ちょうどその時。
〜〜♪
ポケットに入れていた携帯の着信音に、思わず固まってしまった。
……それは、姉貴からの着信音だったから。



