足りない。 何度唇を重ねても。 キスをする度ギュッと目を閉じ、俺の腕を掴む姉貴。 そんな仕草がたまらなく愛しくて、俺は触れるだけのキスを幾度も繰り返した。 「……あ」 思わず、声が漏れる。 「陸?」 「…夢じゃないんだと思って」 「へ?」 「ここ」 そう言って、姉貴の首筋に触れてやる。 白い肌によく映える、赤い赤いキスの痕。 それは昨日、俺が思わず残したモノだった。