「陸……いいの?」 申し訳なさそうに、姉貴が俺を見上げる。 その上目使いに 一瞬ドキッとしながらも、 「別に、暇だし」 そうぶっきらぼうに答えた。 …やばい。 俺いま ぜってー顔真っ赤だ。 「場所は?」 冷静を装って尋ねる。 「えっと、駅前のカフェ」 「了解」 ───って。 今 気づいたけど。 慌てていて、すっかり忘れてた。 ………自分の傘。