ボーッと立ち尽くす俺の横で、姉貴は慣れた手つきで髪の毛を結んでいる。 そして。 「…あのさー、」 鏡越しにチラリと俺を見ながら、小さく口を開いた。 「…何だよ」 その視線にドキッとしながらも、平然を装って適当に相槌を打つと。 「……昨日、ごめん」 サッと視線をずらし、姉貴は小さく呟いた。 ──昨日のって、アレか。 あの光景を思い出して、思わず顔が熱くなる。