「…陸、約束したでしょ?」 小さな声で、姉貴が呟いた。 「絶対完走しようねって。最高の思い出にしようって」 ポロポロと、姉貴の目から涙が溢れ落ちて── その瞬間、俺の中で何かが弾けたんだ。 「え、ちょっと陸くん?」 「危ないから、やめなさい」 よろよろと歩き出した俺を、先生たちは慌てて止めようとした。 それでも、振り返らなかった。 これで、弱虫な自分とサヨナラできる。 そう思ったんだ。