「入りたまえ」 お父様が声を掛けると、扉が開き、一人の男性が入ってきた。 「初めまして、お嬢様。橘 朔夜(たちばな さくや)です」 スラリとした細身の体躯に、理知的な瞳。 か、かっこいい… 私が想像していた以上に彼は若く、格好良い。 私が言葉を失っていると、お父様が言った。 「どうやら気に入ってくれたようだね。橘くん、娘の綾香だ。宜しく頼むよ」 「かしこまりました」