頭をつかいすぎて、知恵熱が出そう。 朔夜さんは、そっと私に向き直った。 「どうされました?綾香お嬢様」 悪魔の笑みに魅せられ、逃れられない。 「どこか具合でも…?」 早鐘のように打つ自分の心臓の音で、朔夜さんの声がよく聞こえない。 「朔夜さん…」 私だけを見て。 その一言が、どうしても言えない。