私は朔夜さんの手に、自分の手を重ねた。 繋がれた手が、ひんやりと冷たい。 私は、朔夜さんの後ろ姿を見つめた。 「今なら、まだ引き返せますよ?」 私の心を見透かすように、ゆっくりと振り返る。 微笑みの張り付いた顔は、いつもより少し、大人びて見えた。