私は単刀直入に訊いた。 「知ってたんでしょ? 朔夜と私が……兄妹だってこと」 岡谷さんは小さく頷いた。 「雇われるときに、旦那様から聞きました。 お嬢様の想い人が本当に橘なのであれば、二人を近づけさせないのが私の仕事でした」 私は涙を拭って言った。 「今更、兄だなんて言われても、 私……諦められないよ……」 岡谷さんはそっと私に近付き、目を伏せながら、落ち着いた声で言った。 「倫理をねじ伏せていい場合もありますよ」