数回の言葉のやりとりをして場が和んだことを確認し、私はいよいよ本題に入ることにした。
回りくどいことは言わずに、はっきりと父に言った。
「お父様、私……
好きな人が出来ました」
すると父は、その言葉を待っていたかのようだった。
「橘くんだね?」
私は、父の口からスルリと名前が出てきたことにちょっと驚いたけれど、すぐにコクリと頷いた。
父は大きな溜め息をついた。
「わかっていたんだ。
想いあっていることは。
でもダメだ。
他の誰でもいい。
橘くんだけはダメだ」
そう言って、私の目をじっと見つめた。



