「もう、どこにもいかないで。 行くときは私も連れて行って」 朔夜は私を抱きしめながら頷いた。 「連れて行く。 たとえ誰に反対されようと、連れて行くから」 優しい朔夜の声が、朔夜のからだから私のからだへと振動する。 「もう、離さないから」 朔夜は幾度も幾度も、私にそう言った。 「私も離れない」