数歩離れて、橘さんがついてくる。 私は部屋の前で立ち止まり、振り返った。 「じゃ、また明日…」 私が言えたのは、それだけ。 橘さんは、にっこり笑った。 「御用の際は、なんなりとお申し付け下さい」 「ありがと…」 私がそう言うと、彼は満足そうに頷いた。